月経困難症・過多月経・月経前症候群
月経前症候群
過多月経について
月経量が異常に多い状態を過多月経と言います。
- 原因
- 器質性過多月経:子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどの疾患が原因
- 機能性過多月経:子宮に異常は無く、ホルモンの異常が原因
- 治療法
- 主な治療法としては、原因疾患の治療と低用量ピル、ミレーナ、黄体ホルモン製剤です。
月経困難症について
生殖年齢女性の75%が月経痛を自覚し、その半数が鎮痛剤を内服していると言われています。下腹部痛だけでなく吐き気、嘔吐、頭痛などもよくある症状です。
月経困難症は仕事や勉強に差し支えるため、治療が必要になります。
- 原因
- 器質性月経困難症:子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症が原因
- 機能性月経困難症:明らかな(画像診断された)子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症は無く、ホルモンの影響により起こる
卵巣のホルモンのうち、排卵後に増加するプロゲステロン(黄体ホルモン)により、月経時にプロスタグランジンというホルモンが増加し、痛みの原因になります。
プロスタグランジンを抑えるか、プロゲステロン(排卵)を抑えることが治療になります。
- 治療法
-
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(ボルタレン、ロキソニン)
プロスタグランジンを抑える事で、痛みを和らげます - 漢方薬
当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散などの漢方薬が有効と言われています。
上記の治療薬は効果が限定的で、子宮内膜症や子宮腺筋症が原因の場合は、病変の進行を抑えることはできません。
結論的には、低用量ピル、黄体ホルモン製剤が上記の治療よりも確実に効果があります。また、将来不妊症になる可能性がある診断されていない子宮内膜症の進行も抑えます。- 低用量ピル詳しくはこちら
排卵を抑えるとプロゲステロン(黄体ホルモン)が抑制され、結果的に痛みの原因であるプロスタグランジンが抑えられるので、ピルによる排卵抑制が有効です。さらに、ピルを内服していると、子宮内膜が薄くなるため、月経痛や月経量も減り、過多月経の治療にもなります。 - ミレーナ詳しくはこちら
ホルモン剤付きの避妊具を子宮内に入れる事で、月経量が減り、月経困難症も良くなります。 - プロゲスチン(黄体ホルモン製剤)(ジエノゲスト・ノアルテン)
低用量ピルが服用できない方にも、黄体ホルモン製剤は服用できます。ピルと違い卵胞ホルモンが含まれていないため、血栓のリスクがなく、副作用が少ないです。子宮内膜を薄くし、卵胞の発育・排卵を抑え、休薬がないため月経が止まります。副作用は少量の性器出血ですが、服用を工夫することで抑える事ができます。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(ボルタレン、ロキソニン)
器質的過多月経、
月経困難症の
原因疾患に対する治療
子宮筋腫
- 手術療法
- 薬物で月経を一時的に止め、筋腫を小さくする方法(レルミナ)
子宮内膜症・子宮腺筋症
- 手術療法
- 薬物で月経を一時的に止め、病巣を小さくする方法(レルミナ)
- 黄体ホルモン療法(ジエノゲスト)
月経前症候群(PMS/PMDD)
について
排卵後から月経までの間に頭痛、めまい、下腹部痛、腰痛、乳房の張り、むくみなどの身体症状やイライラ、不安、うつ症状などの精神症状が出現し、月経とともに症状が軽減、消失するのが特徴です。
排卵による黄体ホルモンが原因と考えられ、ピルによる排卵の抑制が一番効果的ですが、漢方薬や安定剤なども効果があります。